2015年12月18日金曜日

無道路地の判定方法と査定について

http://www.professional-eye.com

(質問)

同居していた父が亡くなり、遺産の分割協議をしているのですが、父からは自宅が無道

路地だと聞いていて、実際に図面では道路に直接面しておらず、隣接した家の土地を通

行させていただいている状態です。道路として使わせていただいている通路の幅は2メ

ートルないと思います。

そのため、路面価で計算した場合と、売れる金額に差があると思われるのですが、この

場合、無道路地と確定するにはどうすればいいのでしょうか?

また、無道路地と認定された場合はどのようにすれば、評価額を修正することが出来る

のでしょうか? 修正できないにしても、遺産分配の評価の根拠にさえ出来ればいいの

ですが。

(回答)

文面から、おそらく無道路地である可能性は非常に高いと思われます。

また、既に基本的な調査はお済のようですが、ご質問の「無道路地と確定する」ために

は、さらに、資料に基づき無道路地であるか否かを判定する必要があるように思えます。

確かに、土地と道路(建築基準法上の道路)との間には他人地「隣家の土地を道路とし

て使わせていただいている通路」(以下、通路と呼ぶ)が介在しているようなので、無

道路のように思えます。

囲繞地であることから、他人地を通行できる権利(囲繞地通行権があるのかも知れませ

んね)。


しかし「通路」部分が建築基準法上の道路と判定されている可能性は皆無ではありませ

ので、これについて調査が必要であると考えます。

建築基準法上の道路は公道とは限りません。私道(所有権などを持っていない場合も含

む)であっても、建築基準法上の道路として判定されているケースはあります。

この調査は、その土地が所在する公共団体の建築指導課などの部署で確認できます。ネ

ット上で建築基準法の道路かどうかを公開している公共団体もあります。

この「通路」が建築基準法上の道路でないとするならば、次に、自宅が建っていること

から、建築確認の有無を調べます。

建築確認とは、簡単に言えば、住宅を建築する場合に、その建物建築が法令に準拠して

いるかどうかを確認する一定の手続で、もしこの手続をしていないならば、基本的に違

反建築ということになります。したがって、現に自宅が建っているならば、建築確認の

手続をしている可能性は高いと思います。

この建築確認申請について各種法令に適合していれば、「建築確認通知書」が残ってい

るはずです。

「建築確認通知書」が手元にあれば良いのですが、それがない場合には、公共団体の建

築指導課などに「建築計画概要書」が保存(保存期間があるので、あまりにも古い建物

の場合破棄されています。)されており、その「建築計画概要書」には、敷地の範囲、

地積、建物の配置、接面道路の建築基準法上の扱いなどが配置図として残っています。

調べる目的は、「通路」が建築基準法上の道路として建築当時(過去)には判定されて

いた可能性があるからです。この場合、以前は建築基準法の道路扱いになっていたこと

から、交渉・手続を経て、救済措置が得られる可能性も無いことはありません。

また、建築当時の敷地の形状、敷地の規模・地積などから、建築当時から現在に至る経

緯を読み取ることができます。

正直、当該「通路」が建築基準法の道路として判定されている可能性はとても低いと思われますが・・・・・

路面価(たぶん書き違いで、路線価のことでしょうか)は、おそらく相続税路線価のこ

と(他に固定資産税路線価もありますが・・)だと思いますが、相続税路線価は、相続

時において相続税算定の基礎となる価格であり、遺産分割のための評価とは、目的及び

価格の種類が大きく異なります。今回のような無道路又は無道路地に準じるような強い

個性を有する土地を評価する場合、相続税路線価を基準とした評価は、いかにも簡略す

ぎて、遺産分配に際して適正な価格を導くことは難しいと思います。

また、文面から現状においては相続人間で争いが発生しているとは思えませんので、そ

れぞれの相続人が不確定な意見を述べるよりは、依頼者を相続人全員(そうすることで

客観性があるため)として、簡易評価でも構わないから、地元の不動産鑑定士に評価を

してもらうことが良いと判断されます。

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